2024年も残りわずかとなりました。今年最後のIDEASCALEユーザー会が開催され、多くの学びと発見がありましたので、その内容をレポートします。
ISO56001とGIMIのイノベーションフレームワーク
今回は、世界最大規模のイノベーション研究機関であるGlobal Innovation Management Institute(以下、GIMI)からErila Haska氏とNirav D氏がオンラインにて、アメリカ、ヨーロッパ、中東における最新のイノベーション動向についてお話しいただきました。
GIMIが提供する高性能なイノベーションフレームワークとISO56000規格の比較についての説明では、両者の多くの共通点が指摘され、GIMIのフレームワークがISO Plus認定を受けていることも紹介されました。この認定により、GIMIの評価プロセスがISO認証への道筋を提供できる可能性についても具体例を交えてご説明いただきました。
Erila Haska氏からは、イノベーション管理システムのメリットとして以下が挙げられました。
- 共通言語とフレームワークの創出
- リソースの最大化
- 学習速度の向上
- イノベーション成功の可能性の向上
また、Nirav D氏からは、イノベーションマネジメントシステムの段階的なレベルアップの重要性について解説がありました。レベル3に到達するとISO認証の準備が整うとのことでした。
特に印象的だったのは、「日常業務の多忙さがイノベーションの障壁となる」という参加者からの質問に対するErila Haska氏の回答です。これは日本だけでなく世界中の企業に共通する課題だとし、リーダーシップの支援やイノベーション文化の構築の重要性を指摘しました。組織全体で取り組む方法として、外部コンサルタントの活用や評価プロセス、報酬システムの調整などが挙げられました。今回のユーザー会は、海外とのオンライン中継という新しい試みも行い、多くの参加者から熱心な質問が寄せられ、大いに盛り上がりました。
フリーランス活用による企業変革
続いて、TECHBIZ社の辻内氏より「企業の変革にフリーランスを活用」というテーマでお話しいただきました。
日本の労働人口が減少する中で、TECHBIZ社ではフリーランスの活用を通じて企業変革を支援する取り組みを行っています。
同社は、フリーランスの主体性を尊重し、働きやすい環境を提供することを目指しており、以下のような支援策が紹介されました。
- 福利厚生サービスの提供
- 税務やトラブルへの相談対応
- その他、安心して働けるためのサポート体制
TECHBIZ社では、金額返金対応を行うマッチング保証制度も行っており、採用する企業側、フリーランス側の両方に安心を提供していることが素晴らしいサービスだと感じました。
これらの取り組みは、フリーランスの方がより安心して働き、モチベーションを高めるための大きな助けとなると感じました。企業とフリーランスの新しい共創の形を学ぶ貴重な機会となりました。
フリーランス活用の高い可能性
新規事業開発、イノベーションなどの価値創出を経験した人的リソースの確保は、とても困難です。正社員の場合、既存の業務や立場などがあり、挑戦することが難しくフリーランスを活用することで成果を出すことができるとお話をいただきました。
ISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)においても、支援体制の要求事項には、人的リソースが定義されています。フリーランスと正規雇用のバランスによって組織を活性化させ、イノベーションを起こす組織に変革できる未来を想像できたセッションでした。
IdeaScaleとJira Softwareの連携によるエンタープライズアジャイル適用
最後に、SAFeプラクティスコンサルタント (SPC)やスクラムマスターなどの資格を保有する山本氏より、SAFeⓇ(Scaled Agile FrameworkⓇ)をはじめとするエンタープライズアジャイルフレームワークにおいて、IdeaScaleが標準機能として提供するJira Softwareとの連携機能が、どのように情報共有を実現し、全体のプロセスを可視化するかについて、デモを交えた詳細な説明が行われました。
IdeaScaleは、組織内外からの多様なアイデアを収集・整理するプラットフォームとして機能し、Jira Softwareはそのアイデアを基にプロジェクトの計画、タスク管理、進捗管理を行うための実行基盤を提供します。この連携により、以下の強みが明確になりました。
- シームレスなデータ連携:IdeaScaleで集めたアイデアが自動的にJiraに送られ、プロジェクト化や実行計画がスムーズに進行。
- 透明性とトレーサビリティ:アイデアの収集から実現までの全プロセスを一元管理し、誰が何を行っているかがリアルタイムで把握可能。
- 意思決定の迅速化:重要なアイデアを迅速に評価し、優先順位を付けることで、チーム全体のアクションをスピードアップ。
- SAFeに最適化された管理:IdeaScaleのファネル管理は、SAFeのポートフォリオマネジメントにおける戦略的テーマやエピックの管理に特に適しており、構造的なプロセスの確立を支援。
デモでは、具体的なシナリオを通じて、両ツールの連携がもたらす効率性と効果が実感できました。たとえば、収集したアイデアが迅速にJiraでの実行タスクに変換され、各タスクの進捗状況やリソース配分が即座に確認できるフローが紹介され、参加者から高い関心を集めました。
以下は、シナリオを例となります。
SAFeⓇのような複雑なフレームワークにおいて、両ツールの連携はチーム間の調整コストを削減し、組織全体のアジャイル成熟度を高める効果が期待されます。
それにウォーターフォールの組織構造に所属するアジャイルチームの悩みも解決することが期待できます。ビジネスオーナーや経営・マネジメント層が考えるコンセプト(ターゲットや価値、リソース、コストなど)が、この機能によって共有され、アジャイルチームが開発しやすくなることが明白です。
この連携機能は、イノベーション推進と組織のアジャイル化を同時に進めるための強力なソリューションとして、今後さらに注目されるでしょう。
今回のユーザー会は、新たな知見を得られる有意義な場となりました。引き続き、最新の情報を共有し、ユーザー同士の学び合いを促進する場を提供していきたいと思います。
感謝と決意
ISO56001(イノベーション・マネジメントシステム)を知るとIdeaScaleの良さやイノベーションの取り組みが、どうしてこうなっているのかを知ることができます。イノベーションを促し、成功率を高めるための仕組みがIdeaScaleには備わっています。
毎回、業界で活躍するイノベーターの方々にご講演いただいております。IDEASCALEジャパンでは、今後もユーザー会を通してイノベーションを推進できるきっかけの場を提供していきます。